「明日に向かって撃て!」の一場面をキッドとキラーで描いてみた。セリフとシチュエーションは若干いじってある。
あのですね、「明日に向かって撃て!」は素晴らしいです。名作も名作なので何を今更って感じですが、相棒萌えの方はぜひ観るべきです。
かつて壁の穴盗賊団として悪名を轟かせたブッチ・キャシディとサンダンス・キッドが、時代の変化に取り残されながらも金と女と明日を求めてもがくさま。
とにかく掛け合いがかっこよくてですね、軽口の叩き方や窮地に立たされた時の対応なんかでさりげなく付き合いの長さを窺わせる感じ、すごく参考にしたい。お手本のような男の友情。
序盤、酒の席で思いがけず互いの本名を知るシーンがとてもいい。会話の流れでぽろっと出てそういう名前だったのかお前、ってそんなに引っぱることなく話が流れていく。
互いについて知らないこといっぱいあるんだけど、そんなことは大した問題じゃないところがいい。このシーンを見て、あっこれキッドとキラーでやりたいなと思いました。
今回パロったシーンは部下がブッチの代わりにリーダーやる宣言をして反旗を翻した場面で、私は「負ける気はしねえが、俺が負けたら奴を殺せ」「わかった」ってやりとりがすごく印象に残っています。
ブッチは人を殺したこともない若干非力な男なのでああやってルール無用の穴を突いて勝ったけど、キッドも勝つためには手段を選ばない感があるというか、むしろ汚いやり口も好みそう。ただその汚さっていうのはかっこわるい汚さではないと思う。
マンガだとわかりにくいけど、カウントの「321ゴー」はほんとに早口で、こう相手の考えてる策わかってやってるのがね、相棒っていいよねってなりますね。
あとこれは彼らの晩年を描いた話なので、ピークを過ぎて無法者として生きることが難しくなってるんですね。
アウトローって若さゆえに何も省みずに突っ走っていけている感じがあるけど、若さを失って歩みが遅くなった時、周りを見る余裕ができてしまう。その時に生き辛さとか人生の方向性を変える可能性なんかに思い当たって、それでも無法者としてしか生きていけなくて。
キッドとキラーがちょっと長生きしすぎたらそんな状況に陥ることもあるのかな、と考えてしまう。前に書いた「遠浅」がちょうどそんな話だった。まああれは長く生きすぎたのはキラーだけだけども。
輝きっていうのは一瞬だから輝きなんだよね。ただ彼らはその輝きのために生きているので、輝きのために死んでもそれで本望なんだろう。
よき旅を!としか言えないな。