念願のドイツ語版ワンピース!
お値段1冊5.2ユーロ(税込)。日本円にして540円程度と思って頂ければ。この価格でコンビニに売ってる廉価版コミックみたいな仕様なので、若干の割高感は否めませんがやむなし。
パッと見てお分かりかと思いますが、タイトルロゴが違います。ドクロもロープも似てるけど微妙に……違う。向こうのデザイナーさんが新たに描き起こしたものだと思われますが、理由はよくわかりません。そしてどの巻も背景色が一緒です。
カバーがないため折り返しのコメントなし。ウソップギャラリー海賊団もなし。SBSはFPSと訳されます。Fan Post Seite。
驚いたのは、大抵SBSのイラストの下に(FPS)と書き添えられているはずが、一部のSBSのみ元のイラストの「SBS」の部分をタッチを似せて「FPS」に描き換えてあることですね。何その局地的なこだわり。
そんな感じでどんな小さな書き文字やSBSのラクガキであっても、全てドイツ語に訳されている徹底ぶり。コミックスの中に日本語は1文字たりとも存在しません。
だいたい固有名詞は直訳かローマ字表記なんだけど、効果音はほぼ全て表記が違う。例えば「どん!」は「TA-DA!」、「どーん!」は「TA-DAA!」なので何がタダなんだよ特売日かよと思う。何故「DON!」じゃいけなかったんだ。
やはり国によって擬音の聞こえ方、捉え方が大きく異なるということなのでしょうか。割と「APAPAPA」だとか「KISHISHISHI」だとか個性的な笑い声はそのまんまの表記なくせに、ドフラだけ「HIHIHIHIHI」という胡散臭さうなぎのぼりの表記に変わってたりするので油断できません。
そういえば黄猿のオジキだけ技名が「YATA NO KAGAMI」と「YATA NO SPIEGEL」で表記ぶれてた。SPIEGELが鏡。「YATA NO SPIEGEL」の方がミスなんだろうけど、これ日本語でいうと「YATA OF 鏡」って誤植したみたいなもんなのかな。ジャンプでそんな誤植あったら笑ってしまうな。
オジキは「KIZARU」表記なんだけど、初登場時に(黄色い猿)と注釈が添えてある。「AKAINU」「KIZARU」「AOKIJI」って表記だけじゃ三大将の関連性がわかんないもんね。しかし、イヌ・サル・キジのつながりというのも日本でしか通じないネタではある。その辺のネタ元まで伝えきることは難しいんだろうな。
さて、何はなくとも超新星ネタ。
自分用に超新星の二つ名ドイツ語表記一覧を作ってみました。発音は一生懸命調べましたが合ってるかどうかは怪しいところです。
“キャプテン” キッド→”Käpt’n” Kid(カピテン・キッド)
殺戮武人→Massakersoldat(マッサークルゾルダート)
魔術師→Magier(マーギアー)
赤旗→Rotflagge(ロートフラーゲ)
死の外科医→Chirurg des Todes(ヒルルク デス トーデス)
海鳴り→Meeresgrollen(メーレスグローレン)
大喰らい→Vielfraß(フィールフラース)
“ギャング” ベッジ→”Gang” Bege(ギャング・ベッジ)
直訳しただけなのに何かかっこよさげに聞こえるのはさすがのドイツ語。「海鳴り」がメーレスグローレンってきれいな響きだね。
ローのおかげで思いがけずDr.ヒルルクの語源を知ったよ。外科医って意味だったんだね。どうも偽名っぽいな。
Vielfraßは最初翻訳したら「クズリ」と出て何のこっちゃと思ったけど、英語圏やドイツ語圏ではクズリは食いしん坊の意味で使われるらしい。日本で言うならキツネがずる賢い人を指すみたいなものかな。勉強になる。
カピテンって何かかわいい。キッドとカポネ以外の船長達は「Käpt’n」と呼ばれてるのでかわいさ1割増し。キッドは「BOSS」呼びで、カポネは「MINE PATE」。PATEだけでも頭目の意味があるけど、「MINE=私の」が付いているのがキモだと思います。「我が頭目」。いいねえ。
こういう表現の違いによる萌えというのはちらほらあって、例えばローがルフィやドレークのことは「STROH MAN」とか「DRAKE MANN」とか「~屋」にあたるあだ名で呼んでるのに、キッドのことはユースタス呼びなことにちょっとときめいた。
超新星や三大将は普通に直訳なのに、何故か七武海だけ「SIEVEN SAMURAI」。カッコいいなおい。SIEVENは数字の7なので、どうも七人の侍と掛けてるみたい。本編中ではSIEVENが略されているおかげで、くまがサムライサムライ呼ばれる現象が起きてる。そうだね、くまはサムライソウル持ってるよ。もののふだよ。
「武」が「SAMURAI」と訳されてるような雰囲気なので、それはつまり「殺戮武人」が「Massaker SAMURAI」になる可能性もあったということですか。こんなタイトルのチャンバラ映画アメリカで作ってそう。
キッドの「なァキラー」というセリフは本編中2回あったけど、どちらも違う訳がされていたのに感動した。人間オークションの時は「Oder,Killer?」大乱闘の時は「Weisst du noch,Killer…?」。前者は「そうだよな、違うか?」みたいな意味合いで、後者は「お前はまだ覚えてるか?」というニュアンスらしい。ともすればどちらも「He,Killer」と訳されるところを、なんと丁寧な……訳した人に袖の下渡したい。この部分を読めただけでも買って良かったと思えた本当に。
そして1番気になっていた「違いない」は「Zweifel los」でした。
「Oder,Killer?」(なァキラー)
「Zweifel los……」(違いない……)
あすから使えるドイツ語表現。ツヴァイフェルロース。
最初適当にエキサイト翻訳に放り込んだら、
「ゆるく疑ってください……」
と訳されて脱力した。ほとんど意味逆になってるじゃんかー。
調べてみると、「Ohne Zweifel」が「違いない」と訳される慣用表現っぽいんだけど、「Zweifel los」はかなり砕けた口語なんだろうか。うーん、ドイツ語ができれば……。
とりあえず気になったのはこんなところかな。いやー楽しめた。
思い出したら付け加えます。